つれづれなる技術屋日記

しがない技術屋。専門は情報工学で、「つれづれ技術屋」って呼んで。

日本プロジェクへの再注目

今日のテレビ「チコちゃんに叱られる!」では、消せるボールペンが”チコジェクトX”として紹介された。ご存知かと思うが”チコジェクトX”は、同じNHKの「プロジェクトX」のオープニングなどを模したもの。ナレーションも同じ田口 トモロヲさん。

 

”チコジェクトX”は今まで何度か放送されており、「プロジェクトX」そのものを懐かしがった人も多かったと思われる。その関係もあってか、リストア版がBSで放送されている。BS4Kで4K放送だが、BSPでも同時放送されている。

プロジェクトX 挑戦者たち 4Kリストア版 - NHK

 

以前に発売された元々のプロジェクトX DVD。

 

なお、プロジェクトX リストア版の6月1日の放送で取り上げられた、日本ビクターのVHKビデオの開発物語は、映画もあってDVDは以下。

日はまた昇る」で、結構豪華な配役。なかには社員間の微妙な気持ちの描写もあるし、(史実かまでは?としても)当時ライバルのソニー社員とビクター社員のカップルの話などもあって、映画の方が感情移入しやすい気もする。

VHKビデオの開発物語は、プロジェクトXでも映画でも取り上げられたが、本社による工場のリストラが伏線としてある。VHSの開発は工場側で、本社のリストラ実行指示に対して工場内でのチーム立ち上げとか人員移動、そして本社への釈明、、、。そして何より、本社に隠れての開発実行がある。最後のは、結構日本の(過去の)プロジェクトで多く、現在のリストラ旋風でも頭の隅に入れておくべきと言えよう。

さらに言えば、VHKビデオの開発物語でのキーポイントは、親会社トップと言える松下幸之助氏へのプレゼンや賛同を得たことだろう。そんなことも頭の隅へと言えると感じる。

 

ちなみに、同じNHKの「神田伯山のこれがわが社の黒歴史」という番組では、プロジェクトXよりも最近の、しかもどちらかと言うと失敗プロジェクトを扱っていた。目にしたのは、おもちゃメーカー・バンダイの「ピピンアットマーク」。ただこの番組、再放送をたまたま目にしたが、定期放送の番組ではないようだ。もう1つの回があったようだが、オンデマンドなどのみのように実際には放送されずに思える。

 

自分の意識のせいか、最近ポツリポツリと、このような日本のプロジェクトを見直す番組や書籍などを目にすることが少なくない。野中郁次郎氏(共著)の「知的創造企業」の”新装版”が出版され、それらの代表格と思えた。

 

思うに、海外等のGAFAMを見出しにしたセミナーなどが多い。プロジェクトマネジメントの勉強会で”変革”への対応みたいなことが強調され、GAFAMとかAirbnb(エアビーアンドビー)やウーバーイーツのような、急成長企業の様子を前ふりにした講演が少なくない。

それらへの参加が無駄とは言わないが、余りに成功の表面的な話で、苦労話や社内調整みたいな話が少なくて、実際に身の周りに適用しようにもギャップが大きすぎる気がする時がある。”変革”に関して勉強しようと思っているのに、新規構築とか新分野参入とか場合によっては稚拙に近い買収による変容に該当して、違和感を覚えたりする。(GAFAMのMはマイクロソフトなわけで、変革=回復と言えば回復だが、その辺りの話には言及されない気がする。Aのアップルに関しても同様。)

そういうのに接してる機会が多いと「温故知新」のしかも、日本でのプロジェクトへの”温故”の意識が高まるというわけだ。日本のプロジェクトの方が、プロジェクトに関与した人や関連企業を含めた周辺情報が得やすいし、細部をイメージしやすい。

 

ちなみに野中郁次郎氏は、共著の関係もあって、アジャイル開発などソフトウェア関連のイベントで講演されるケースがある。以下の動画はスクラムギャザリングでの動画で、氏の人柄などが分りやすいものと思える。(ほんの一瞬だが、放送だとピーを被せるような発言もある。)

Regional Scrum Gathering Tokyo 2021( #RSGT2021 )

youtu.be

ついでに。野中郁次郎氏での最近の著作に「ワイズカンパニー」がある。こちらも同じ竹内氏との共著。

帯に、知識創造企業の四半世紀ぶりの続編とある。海外の企業のことも書かれているが、日本の企業が多く、より近いイメージで参考になることが多い。

さらっと読んで、目を引いたのが「トヨタにおける生き方としての矛盾」。歩みは遅いが、大飛躍をする。高効率だが、社員の時間を無駄に使ってるように見える。そんな項目が並ぶ。章としては「第8章 政治力を行使する」で、ワイズリーダーが備えるマキャベリズム的な手段も辞さない必要性について述べている。マキャベリズムだけを聞くと違和感覚えるかもしれないが、論旨は本文を読んだ欲しいと思う。

他にJALの再建にそれなりのボリュームを割いているし、スポーツなどのメタファーが述べられてて、実際的に役立つ話が多いと感じる。

そして、トヨタのなぜなぜ分析と、ホンダのA、A0、A00の手法が隣り合うように書かれているのも興味深かった。本質をつかむのに、トヨタのなぜなぜ分析を社員教育で行ったり実践している所は少なくないと思う。個人的に、それ自体を悪いとは言わないが、トヨタのそれは5回繰り返すということで、社内実践でもそれを強要するみたいな弊害を時々聞く。産業分野も異なるし、開発初期の原因がはっきりしてる問題に適用しようとしたりする。後者とかだと、開発スピードを遅めてしまうのに、、、。

ホンダのは、Aが仕様に対する問、A0はコンセプトに対する問、A00はプロジェクトに対する問で、トヨタのなぜなぜ分析と用途が違うとは思える。ただ、組織体によって、本質のためにというのを繰り返す手法を、それぞれで工夫することが重要。つまり手法を勉強して、そのまま守るように実践するのではなく、組織体に応じて変容させるのが重要である。変容が必須とまでは言わないが、必要なら変容させる意識は基本と言える。

 

プロジェクトリーダー、プロジェクトサブリーダーになったりしたら/なりそうなら、ここで述べたような日本プロジェクトをちょっと勉強してみてはどうだろう。そんなことを思った。

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