つれづれなる技術屋日記

しがない技術屋。専門は情報工学で、「つれづれ技術屋」って呼んで。

遺跡の地図情報→3D表示 鹿児島県の文化財DBでやってみた

実家での城跡などの地理情報から3D表示してみたので、ちと紹介。Google Earthを利用して3D化しての動画が以下。場所は、鹿児島県南九州市の「勝目」と言うところ。

 

youtu.be

【いきさつ】

最初からそれを目指したわけではなく、発端はひょんなことだった。自分の実家が鹿児島県南九州市で、城の事をつらつらとネットで調べた。実家は市の中での「勝目」と呼ばれる地域。昭和の大合併で村から町に合併され、平成の大合併でさらに市に合併された。現在では、小学校区程度の規模と考えてもらって良い。

「勝目」を含んだ市の城跡、テレビで見た隣町の「知覧城」跡なども調べた。ちなみに「知覧城」は、1年半ほど前に地上波テレビに登場して驚いた。NHKの全国放送。

www.nhk.jp

その番組では、天下の姫路城などと比較されたわけで、勝負は明白。^.^;;  ただ個人的には、別番組の城跡考古学の先生らが、天守閣の無いというか今となっては山腹みたいな地形を、熱っぽく語ってるのを目にしてた。他の先生によるものも含めて、複数の番組。そしてこの番組でも、春風亭翔太さんがシラスなどの事を絡めて熱く語った。シラス台地の上の方に城跡を示す広場があり、シラスのために急に切り落ちてることで攻めにくくなってる。地形や土壌そして城の攻略の話が多く、大きな天守閣を持つ城の話と少し違い、個人的にこちらの方が興味深かった。

 

【城めぐりのブログ】

そんな背景を持ちながら実家近くの城跡を調べてたら、以下のサイトに実家近くの「勝目城跡」以外に「薩摩 野首城跡」なるものを発見。そのサイトの凡その位置で、「あんなところに城跡あったっけ?」が、まずの感想。直近の市のページでの史跡一覧にも無くて、謎が深まるばかり。ちなみに、「勝目城跡」は、昔の町の史跡でもあり、そのまま現行の市史跡になってる。

www.hb.pei.jp

なお上のサイトでの"写真あり"のチェックを外すと、「薩摩 野首城」も一覧に表示される。あるいは、各城のページで地図が表示されるが、そちらでも見つかる。

 

ネット経由で「薩摩 野首城」で検索するが、なかなかそのブログでの位置のがヒットしない。そもそも「野首城」で検索すると、色んな地域での城跡が出てくる。しかも、市の(少し有名な)城の名前の別称が”野首城”と判明。また、そのブログでの隣市にも「薩摩 野首城跡」が存在し、混乱状態になった。後で考えれば、鹿児島県と分かるように”薩摩 ”を付けているだけなので「薩摩 野首城」がいくつかあっても不思議ではない訳だが、その時は実家に近い「薩摩 野首城」が間違いかもと思えて来た。

 

【鹿児島県の埋蔵文化財情報DB】

そのブロガーが緯度か経度を間違えて別の所をプロットしたのかなとか、ちょっと考え付くことを検証してみたが確信には至らず。悩んだ末ブロガーの方へ問い合わせ、同時並行で調べたていたら、鹿児島県立埋蔵文化財情報データベース(DB)に行きついた。今となっては、”野首城”などとは違う別の検索で行き着いたかもだが、良く覚えてない。そのブロガーの方から、ブログの参考文献にも、県のDBの件を書いてると教えてもらい、少し赤面。

www2.jomon-no-mori.jp

県内の遺跡が地図上に示され、検索等ができる。実家に近い「野首城」も地図上に表示されてた。それ以外にも勝目に城跡があると判明して、さらに驚いた。

(ホームページの)所属的には、鹿児島県の上野原の古代遺跡の施設というか部署。上野原の古代遺跡の事は知っていたが、そこのページに城跡の情報があるとは、ちょっと予想外だった。検索などで思いつかないわけだ。

また、逆にそのDBには古墳時代縄文時代などの遺跡もマッピングされている。さらに鹿児島県の場合は、廃仏毀釈の関係もあって廃寺が少なくないが、廃寺跡もマッピングされてた。つまり県とかの地域での、古墳時代~中世(城跡)~明治時代(寺跡)の遺跡を俯瞰できるわけだ。

 

【マップの自作と3D化】

ただし細部は後述するが、遺跡名から地図上の位置を調べるのが面倒だった。そこで、各時代を俯瞰できたら良いなとの思いとの兼ね合いで、自分で地図上のマッピングをすると便利だと考えた。例えばここで述べた「勝目城跡」とか「野首城跡」を、一覧からクリックすると、地図上の位置へジャンプさせたいということ。

そこで、すぐに思いついたのがGoogleマップの「マイマップ」。鹿児島県立埋蔵文化財DBでの表示から、大体の位置を読み取り、一部の遺跡については自分の記憶を多少頼りにして、Googleマップ上にマーカーを順次追加していった。Googleマイマップにはレイヤーという考えがあり、城跡を1つのレイヤーにして、古墳~弥生時代、寺跡などを別レイヤーにした。

ある程度出来たら、自分で操作性なども確認。特に城跡レイヤーでの城跡を調べようとすると、既述の知覧城のようにシラス台地の上の城跡が分ると良いのにと感じた。知覧城ほど大規模じゃないが、ちょっとした高台が城跡と判明したためだ。勝目城跡以外は町の史跡じゃないし、今となっては山林と言うのが多いので、自分もだが地元の人の多くも、城跡とは認識して無いと思う。

 

そうなると3D表示。Googleマップ上からWebベースでの3D表示を起動できる時があって、その操作を確実にしようと色々試した。首都圏のような都会だと、WebベースのGoogleマップからWebベースのGoogle Earthが動く感じ。ところが実家のような田舎だと出来ない。都会で3D化してから田舎の地域に移動して、マイマップを開くと3D化できる確率高い(感じ)。その辺りが不確定だし、ここでの動作も不確定な部分があるような感じでサポート対象外とか本来の動作では無いかもしれないという気がしてきた。また、相当前の自分の環境PCでだったと思うが、Google Earthがやたらとディスク容量とかメモリーを使用してたりしてて、Google Earthの利用に消極的だった。

そこで多少「えいやっ」の気分で、PCにGoogle Earthをインストール、実家地域の遺跡のマイマップをGoogleマップ上で「KML/KMZにエクスポート」。そのエクスポートファイルをGoogle Earthに読み込ませて3D表示させた。なかなか良い。スマホでもインストールして実験してみた。PCとスマホで、操作方法が若干違ったりして戸惑うけど、予想以上に好感。

今まで知らなかった城跡のいくつかは、鹿児島というかシラス台地での城跡らしい形態。まっ規模は結構小さいし、溝などまでは分らないから資料的価値が大きいとは思えないが、帰省とかで出向いてみようとの気持ちにはなってる。

勝目の史跡などをマップ化した(暫定版)時点で、地元の同窓生にネット経由で見てもらった。その関係もあって、3D化の方法も伝授。やはり、3D化した方が分りやすいとの感想を貰った。なおマップがあるのなら、本ブログでURLを示すべきとの意見あるかもだけど、後述の理由で知り合い等への連絡のみとした。が逆に、鹿児島県立埋蔵文化財DBの取り組み紹介したり、そのデータでこんなことができるとの紹介には、3D表示(動画)がぴったりと思った。そのため、GoogeEarthでの操作後画面録画して、今回のようにブログに書いたという訳だ。

 

【他県の埋蔵物DB】

鹿児島県立埋蔵文化財DBのような、遺跡情報(特に城跡などを含む遺跡)の地図マッピングを他の都道府県でもやってる気がして調べたが、なかなか見つからない。多いのは、縄文式とか弥生式の埋蔵調査のマッピング。地図へのマッピングが無い所の方が多い。

そんな視点で、やはりずば抜けて整備されていると感じたのが、東京都の「東京都遺跡地図情報インターネット提供サービス」。

tokyo-iseki.metro.tokyo.lg.jp

操作性としては、非常に良いと思う。検索後のクリックで、該当史跡へジャンプできるのはありがたい。地図上の遺跡のクリックで詳細情報が表示されるのも良い。なお検索で種類と時代はプルダウン(+フリーワード)であれば良さそうに思うが、フリーワードのみみたいだ。「城跡」で、相当の数が引っかかる。

 

検索などで注目に値すると思ったのが福岡市。

bunkazai.city.fukuoka.lg.jp写真付の説明がコンパクトなので、見栄えも良い。予め用意されてる年代等のチェックで絞り込める。ただし、城跡がジャンルになってないので、”城跡”のキーワード検索になる。どうも福岡県は、各市町村でそれぞれ文化財DBを持ち、メンテナンスしている感じ。

 

ちなみに大阪府は、文化財の地図情報というよりも、埋蔵文化財を示して都市開発などの際に注意してねとの主旨に思えた。愛知県は文化財の地図情報は無いようで、イベントや直近の発掘状況が羅列されている。(見つけ方が良くなかったかもだけど。)

 

 

【県埋蔵文化財情報DBと市町村教育委員会

鹿児島県の埋蔵文化財情報DBは、地図情報化としては全国から見てもトップレベルに思えてきた。一部の人は重宝してるのだろうが、もっと広めても良さそうに思う。縄文時代弥生時代ファンにはちょっと申し訳ないが、それだけの地図情報だと勿体無い。城跡などを含めるメリットは大と個人的には思う。今回実家近くの遺跡をマッピングしたが、縄文・弥生の埋蔵物は、工事したら出てくるような感じでいたる所にあった。それはそれで驚きだけど、城跡は地形からも読み取れるし身近な所にもあるとの気付きの方がインパクトが大きいだろう。

 

ただ、県の埋蔵文化財情報DBを色々操作してると、要望めいたことも起きた。1つは検索。検索操作が今風から縁遠いように思えた。また、検索結果での列幅とか指定できるが、項目順を変えるのも面倒だし、数値で列幅を入力するのがなんとも、、、、。見栄えなどはCSVのエクスポート後にスプレッド操作で行えるので、DB側はむしろ項目順の変更をやりやすくして欲しいと感じた。

地図での表示は遺跡一というか調査エリアの表示のみで、遺跡名をクリックすると詳細ページに置き換わる形態。東京都のようにクリックで小画面がポップアップする格好が良いと思う。(さらに言えば、マウスオーバーと組み合わせたり、右クリックで色々選択できた後に詳細ページに置き換わる/あるいは詳細ページをポップアップさせるのが良い。)

検索結果は一覧を表示できCSV形式でダウンロード可能だ。そこに遺跡エリアの中心位置(緯度経度)があると良いな~と思ったが、悪用への対策や、ダウンロードできても大まかな位置の方が良いと思った。(後述)

実は、マイマップ作成時に埋蔵文化財情報DBで「あれっ」と思われる情報が発生した。遺跡の住所が書いてあるが、町名が抜けてるために検索でうまく引っかからなかった。埋蔵文化財情報DBの方の問い合わせを行ったが、ポイントは埋蔵文化財情報DBの方では(当たり前だが)自治体からの情報を転記。

遺跡情報の精度を高めるには、自治体での入力の精度を高めることになると理解。ここでの自治体は、具体的には教育委員会。他でも発生してるのかもしれないが、合併とかの合間で、ポリシーめいた暗黙の了解がうまく伝わってなかったのかもしれない。自分の整理も兼ねて。気になった事項を列挙しておく。

・H25-223-423-0    一里塚  町の後ろが”勝目”。他と同様、郵政住所と同じ大字が良い。

・H25-223-430-0    山田郷地頭仮屋跡  市までになってる 

・H25-223-504-0    下桃木渡瀬遺跡  町名が抜けている。しかも大字は記載されてる。<埋蔵文化財情報DBへ連絡済み>

 

他に、散布地が集落名のままというのが多い。仕方ないと思いつつ、大きな集落名なのは少し気がかり。さすがに、遺跡名として「勝目」は範囲広すぎで、大集落や中集落、あるいは「勝目 古墳跡」みたいにできないものかと思った。

さらに希望的な要望を言えば、(他県でも多いと思われるが)関連資料が登録されていない。出来れば順次登録とか、県の図書館にあるとか、市の図書館で閲覧できるとかがありがたい。埋蔵文化財情報DBでの遺跡番号あたりと、表になってるとかその一覧を閲覧できるとさらに良い。後者は一部実現できてるかもしれないから、帰省の折とかに確認してみようとは思う。

 

【地図情報のあり方】

今回動画を公開したが、マップそのものは知り合いとかと情報共有する程度に留めた。城跡など土地そのものはそうでもないだろうが、世の中には不徳というかバチ当たりな行動に出る人がポツリポツリ。建物とかでは不法侵入なども起きてる。さらに日本の場合はそうかもしれないが、スマホでの位置情報設定とか、写真アップの際の顔写真の個人や場所情報公開にそれなりに気を使う。史跡とか地域の文化財Googleマップにして記載しているブログとかでは、敷地内への進入などの注意書きを添えてる形態が多かった。

今回のマップではマップ情報に注意書きを記載してさらに非公開にしたが、うまく技術的に解決できないだろうかと思考してみた。ある所からズームインできないようにするとか、緯度経度情報に数字部分を?で記述してある縮尺から位置を示すマークを大きくするなどを思いついた。しかし、前者はズームインできないような指定を地図情報のどこに含めるかと、結局その指定を無視したら即ばれることになるので、不可。後者はデータフォーマットの規定に関する。地図での緯度経度情報は色んなシステムで使われており、そんな項目を変更しても対応してくれそうなシステムは皆無。あるいは、混乱して顰蹙(ひんしゅく)かもと。

ちなみに、そもそも地図情報での緯度経度は以下の形態になってて、GPSからのデータなどでも使われている。(以下は、GoogleマップでのDSM形式での説明。他の形式もあるが、秒以下の精度のことはあるものの、一意に変換できると考えてよい。)

 

    •度分秒(DMS): 41°24'12.2"N 2°10'26.5"E
    •度分(DMM): 41 24.2028, 2 10.4418
    •度(DD): 41.40338, 2.17403

1 秒は地上で31m程度。ここでは一旦40mとしておく。1分が1.9kmで、一旦2kmとしておく。

GPSの発達のため、”秒”の次の少数以下の精度がどんどん上がってて、その対応がされているので、明示的に”秒”が分かるDMS形式が利用されていると思っている。

となると位置をぼかしてるとの意思表示で、DMM形式にして少数無しの”分”までで表すと、2kmの誤差というかその辺りを示すマーカーを表示させる方法が考えられる。2kmはぼかしすぎかな~と考えた。ということで、個人的にはDSM形式で少数なしの”秒”まで辺りが妥当に思えた。

あとはマーカーのボカシだが、Googleのマップ関係のAPIを使って出来るかもと思えたが、この辺りは詳しい人に聞いた方が良さそうに感じた。APIに案外色んな機能があり、組み合わせて実現する必要がありそうで自分には難しい、、、。

なお、そうやって遺跡情報の緯度経度をエクスポート時に丸めても、バチ当たりな人が場所を探し出したり、ネットで位置が特定されるかもしれない。これらへの対策は技術的側面でなく位置情報の丸めでも解決しそうになく、悪用への対応は必要と言える。

 

【むすび】

直近で再放送だったが、以下のような番組を見た。(つぶやき自体は初放送の方。また、詳細はNHKのサイトから既に削除されている。)

航空レーザー測量で巨大山城を浮かび上がらせてCG化。本番組にも登場した千田先生は以下などの著書がある。

しばらく前だと城というと壮大な天守閣のそれの番組が多かったが、最近は山城後の番組が増えている気がする。

また、既に述べたように城めぐりのブロガーさんは多く、全国を旅してる感じ。そして前は「歴女」とか「御朱印女子」とかがテレビで盛んに言われていたが、そんな人たちのブログもいっぱいあって全国を旅してる人も多い。ついこの前は、「刀剣女子」が実家地元の博物館での展示をネタに細かく述べていた。

地元の人には何でもないようなことに興味を持ってる人が少なくないとの認識が必要だ。史跡の案内とか施設内のちょっとした資料を熱心に見るのは地元の人じゃなくて、そんな遠方からの人たちということが多い。資料の中身についても地元よりも遠方の興味ある人たちの方が知ってる、なんてことも。自分も含め、改めて地元を知ることは必要と感じた。

 

地元の遺跡を、文章のみでとか、写真とかを含めたとしてもアットランダムに記述するのと、地図上にマッピングするのとでは大違いと今回強く感じた。地図にマッピングしたら、学校とかで遠足に行けそうとか、自宅の近くなのでもっと調べてみようという気になると思われる。

地元の遺跡を知ることでのもう一つのメリットは、歴史を古墳~明治みたいなレンジで俯瞰できる点だろう。もちろん日本史の教科書からしたら、非常にとぎれとぎれだし情報量は極小。俯瞰を知ったうえで教科書での中央史主体を読むと、違った見方もできそうに思える。地元の史跡の調査は数少なく、大人の社会学習とか、子供たちの自由研究ネタとしても悪くないだろう。

そんな興味の人とかが増えたら、地元の史跡の発掘レポートなり史跡の歴史も見直されて、ネット経由とか市の図書館とか県の図書館でアクセスしやすくなったらうれしく思う。

城跡のブログや県の埋蔵文化財情報DB経由で、いろんなことを知ることができて改めて感謝である。

 

©2005-2021 ほんだ事務所(honda-jimusyo) All rights reserved.