つれづれなる技術屋日記

しがない技術屋。専門は情報工学で、「つれづれ技術屋」って呼んで。

終戦時のブラジル日系コミュと現代

昨日、ちらっと目に入ったTV番組が、BS1スペシャル「遠い祖国~ブラジル日系人抗争の真実~」。再放送で、前編の終わりごろから見出した。出掛ける予定があったので、後編を録画予約して、帰宅後さらっと見た。時間のあるときに、(再度)じっくり見る予定。

NHKサイトじゃないけど、以下にちょっとまとまってる。番組の制作会社のサイト。

http://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=3&ved=0CC8QFjAC&url=http%3A%2F%2Ftemjin-tv.com%2Fworks%2F%25E6%2594%25BE%25E9%2580%2581%25E3%2580%25808%25E6%259C%258815%25E6%2597%25A5%25EF%25BC%2588%25E9%2587%2591%25EF%25BC%258916%25E6%2597%25A5%25EF%25BC%2588%25E5%259C%259F%25EF%25BC%2589%25E3%2580%2580%25E9%2581%25A0%25E3%2581%2584%25E7%25A5%2596%25E5%259B%25BD%25E3%2580%2580%25EF%25BD%259E%25E3%2583%2596%25E3%2583%25A9&ei=ybgNVK2ABtWTuATGlIC4Bw&usg=AFQjCNFiQQH5gS0E6hO-G-Dm5HSf_S4A1w&sig2=DBak6c9Nc1NuiovogJw25w

 

第二次世界大戦終戦間際や終戦後の、ブラジル日系人内での抗争を扱ったドキュメンタリー。自分は、全然知らなかった。「勝ち組」「負け組」が対立して、複数の暗殺まで発生する。「勝ち組」は、終戦時も日本が勝ったと信じている人達。「負け組」は、日本が負けたんだと理解できた人達。大戦時に、日本人はラジオを取り上げられるなど情報皆無の状態。一部の人達(「負け組」)は、ラジオで知ったり、ポルトガル語を理解できたりして、日本敗戦を知る。

 

「負け組」が「勝ち組」の人々を説得するという、単純な図式にならない。元々の「負け組」の多くが、お国のためと言ってたのに、ころっと変わったように映ってしまう。また説得するにも「勝ち組」の人達を、罵倒するような言動をする人も出てくる。(実際あったのかも知れないが)「勝ち組」が行動に出たとのデマが出る。本当のことを知ることよりも感情が先になって、対立がエスカレート。暗殺事件まで起きてしまう。

 

日本が勝ってるとのチラシを販売する輩が出てくる。終戦後に日本が勝ったので、帰ろうとの機運が高まり、港で二世などのために日本語学校を開いて一儲けという輩もいたようだ。そんな人々により、混乱が加速したり、後になって怒りを別の組に向けたりする事になったのだろう。

 

番組では、日系人の人々が出て、当時の事を喋った。暗殺に関わった人、そして殺された側の家族の話もあった。それぞれの人生といったイメージ。帰化するつもりはないと言ってた老婦人が、あの壁の絵が死後どうなるかだけ心配と、指し示したのが天皇陛下の絵だったシーンは印象的だった。

 

なお個人的には、最後の方では和解していった話も出るだろうと思いながら見ていたが、見当たらなかった。番組構成として多少不満が残るとともに、今も続いてる悲しい現実なのだろうとの思いに至った。(一昨年だったか、親戚の所でブラジル移民の人=老婦人と少し話をする機会があった。この抗争のことを知ってたら、もしかしたら少し当時の様子を聞けたかもしれないと、ふと残念に思った。)

 

ちなみに映画になったおり、「汚れた心」(けがれたこころ)と「闇の一日」。

 

後者は、YouTubeで無料で見ることができるが、(二世らが喋るのは日本語でも)見出しやナレーションはポルトガル語である。

https://www.youtube.com/watch?v=QDf_egB3MG4&feature=player_detailpage

 

また、日本語版も公開予定と書いてるページを見つけたが、YouTubeで”闇の一日”や”yami no ichinichi”で検索しても出てこず、日本語版の公開はお流れになったのかもしれない。

 

「汚れた心」はブラジル人フェルナンド・モライスの「コラソンイス・スージョス」を原作としているし、この日本人間の抗争を扱った日本のドラマ「ハルとナツ 届かなかった手紙」もある。

 

これらの事を知ったのも、今回のBSでのドキュメンタリーを見てから。

 

 

なお、こちらもちらっと見た、今日の朝ドラ「花子とアン」では、戦時中の婦人会での一般の婦人と接客業?らしき人達の婦人会の対立があった。また、ヒロインの友人宅に石が投げつけられるが、非国民と言いながら逃げてったのは子供たち。前者の婦人会の対立は他の朝ドラでも登場したような気がする。後者の子供による行動は、他の朝ドラであったのか?? ふと、昨日の「遠い祖国~ブラジル日系人抗争の真実~」と似たような状況と言えなくもない。

 

 

朝ドラを見た後、ドキュメンタリーとの相似性に思い当たり、さらには現代と結構似た側面があると思いついた。最近多いのが、ネット上のデマ。明らかな個人によるデマもあるが、大手新聞社などが(外部からは余りに意図的と思われるような)偏った記事を流す。他にニュースそのものは信頼できるが、”拡散希望”と記してSNSでのアカウント収集を目的としたものも少なくない。拡散希望には、あからさまに拡散希望と記してないこともあるし、可哀想な話などが少なくなくて、つい”いいね!”をクリックして拡散していく事がある。

 

ちょっとした事件で、実行した人を非難する人が出たかと思うと、擁護する人が出てくる。タレントや企業の言動などに対して多量の意見が飛び交う時もある。いわゆる”炎上”の発生。対立が結構エスカレートして、更なる事件の発生に至る事もある。

 

ドキュメンタリーや朝ドラでの時代は、戦時中や終戦直後。言論統制がされていたり、情報が全く入って来ない時代の話である。ところが現代の対立の発生が、妙に当時と似かよってる気がしてならない。現代でも、本来の情報の欠如が原因の時がある。不確かな情報が先行するケースがあって、正しい情報は遅く到着してしまう。そして、感情とか心情でバイアスがかかってしまう、、、。情報のスピードは速いが、飛び交ってる信頼性はさほど向上してはいないということだ。

 

 

直近での自分の周りでの”拡散希望”ネタへの反応は少なくなったように思う。逆に、大手新聞社での偏った記事への対抗がエスカレートしているように感じる。偏った記事を出す新聞社が悪いんだが、その対抗たるメディア(週刊誌)だって、偏った記事やゴシップ的過ぎる記事は少なくない。1,2歩下がって位の気持ちで読んだ方が、良さそうだと考える。

 

マスコミや風評に踊らされるのは、今も昔もさほど変わらないと言える。歴史から学んだはずだが、現代でも起きてしまう。ある意味、歴史を単語で暗記した/暗記させた弊害なのかもしれない。ドラマなどで当時の具体的なことを知り、そして現代と対比して考えるというのも、備えとしては悪くないと感じるこの頃である。

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