【いきさつ】
本ブログで、新型コロナウイルスでの空気感染や郵便物経由の感染を話題にした。今週は、まん延防止等重点措置に移行したり移行を要請する都道府県知事のテレビ登場が増えた。各首長は色々述べてるけど、大きなポイントは飲食店の時短要請。分からなくは無いが、県の施設利用やイベントの中止とかを述べない所も多いし、今までと違うと言いながら要請がほぼ変わらないというの点に、ギャップすら感じている。
で、自分は生物等の専門家じゃないけど、そもそも新型コロナウイルスの感染経路というか、生存率から見直しても良さそうと思い立った。余りに感染経路不明で片付けられすぎ。日本の場合、ほぼ確定と思われるお店とかが判明しても、その公表を首長やマスコミが控える風潮がある。感染者の行動に対する報道も似てて、韓国や台湾、香港などと対比的である。
【従来データ】
まず、基本は、プラスチックとかでは長く生きてるけど、紙(3時間)とか銅(4時間)では短命としているのが以下。結構参照されていると思う。なお、布が2日、紙幣が4日、マスク(医療用のサージカルマスク)の外側が7日と長いとしているのもこれ。
これに対して、紙幣(特にポリマー紙幣)やステンレスでも、思ったよりも長命とのデータが以下。28日といった1月に近い寿命としている。
エアロゾルは短命で、3時間としているのは以下など。
https://www.niid.go.jp/niid/images/epi/corona/covid19-01-210630.pdf
【結晶化の可能性】
エアロゾル~ポリマー紙幣で、3時間から1月程度という幅があり、そもそも?? 1月程度とのことで、「タバコモザイクウイルス」の結晶化の事を思い出した。以下でも記述があるが、ウイルスが結晶化して永らえるというもの。
自分は高校の時だったと思うが、この話を聞いて、それがウイルスと細菌の大きな違いと考えてた。つまりウイルスは無機化学的な側面を持つと。実際は、どんなウイルスもそうだということでもないし、結晶化には条件が付きまとうみたいだ。また、今回の新型コロナで常温などの条件化で結晶化するなら、もっと話題になりそうである。したがって、1月程度の件は、結晶化ではないと考えた方が良さそうと思った。
【従来データの疑問点】
となると、ステンレスでの生存期間が、2-3日なのか28日なのかがクロースアップされても良さそうに思ったが、28日とのニュースは一過的だったように思う。今になって考えるに、以下辺りが理由に思えてきた。
1)これらのデータの利用として、最も多いのは抗ウイルススプレーなどの商品開発。その立場だと、2-3日以内に(あるいは、もっと早めの期間で)実験しておくべき。結晶化や変異などで28日辺りも実験すべきなら別だが、そうでなければ短い方で測定しておいた方が効率も良い。なので長い方は、あまり取り上げられてないと考えた。
2)長めの生存期間は、市中や家庭内感染などでの留意になるかもしれないが、28日間も市中等でそのままという事が皆無に思われる。発症時などでの理由を疑う際の参考になるとしても、長い生存は他の要因などを含めて感染経路不明扱いになりそうに思える。
3)感染対策での消毒などの行為の場合、エアロゾルの生存3時間を参考に半分の1.5時間毎とか、一般的に言われてる30分に一度とか、空気の流れ経路に注意した喚起とかを行っている。あるいはプラスチックやステンレスなどには注意だけど、1日に1回(あるいは複数回)の消毒にしている。つまり28日云々は、消毒や換気にも余り関係しない。
そういった事を考えると、大きく気になるのが、銅(4時間)、ティッシュを含む紙(3時間)と紙幣(4日、ポリマー紙幣だと28日)の違いとか、布(2日)と医療用サージカルマスクの外側(7日)の違い。
銅の件は、プラスチックが3日なのにやたらと短い。ティッシュも似てて短いのに、紙幣になるとやたらと長い。布では、サージカルマスクはさらに長いが、プラスチック並なのは??
【自分なりの仮説】
自分の考察では、後述する生存期間の測定法に関係するが、大きく2つあると考えた。
1)銅の場合は、ウイルスを殺す方法で働いている。つまり、プラスチックやステンレスと同じくらい生存しても良さそうだが、銅の抗ウイルス効果で、そこそこウイルスが死滅。
2)紙や布で生き永らえるのは、長く生きるというよりも、繊維質などの奥のほうにいて(隠れてしまい)、見かけ上で生きてするのが少なくなってる。
銅の抗菌メカニズムや、新型コロナでの実験については以下などが参考になった。
したがって銅の場合は、ウイルスが生きてるというよりもウイルスが死んだものが多いと考えた方が良い。冒頭の記事は、積極的に抗ウイルスを目標にしてたわけじゃ無いだろうから、抗ウイルスの視点では少し時間が長い程度かと。
紙や布に隠れる件は、測定方法に関係するが、布に対してサージカルマスクが長いのは、サージカルマスクの表面がつるつるしてて、極端にはここではプラスチックなどに近いと考えても良いのだろう。記事でのマスクがどうか分からないが、撥水加工などマスクもありそれも関係していると思われる。
似たのは、紙幣とポリマー紙幣の関係でも。ポリマー紙幣は紙というよりもプラスチックと考えればスッキリする。ティッシュとダンボールとで、ダンボールの方がウイルス長命なのは、ダンボールの方がほんの少しプラスチックに近いというかティッシュよりはつるつるしているため。別の見方では、段ボールの方がウイルスが隠れにくいと考えるとすっきりする。
【測定方法】
さて、ウイルス生存の測定方法。もっと良いのがあるかもだけど、以下のページとかを参考にした。
試料を比較のために2つ用意して、ウイルス液を噴射、一定時間後に洗い流して培地へ。このサイトでは、プラーク法によるウイルス感染価としてるが、(生きてる)ウイルスに反応する物質?を混ぜて、その反応量を測定するみたいな感じと思う。
液噴射とか洗い流すことで、内部まで細かく見てはいないと思われる。そのために、ウイルスが布の中に隠れてしまっているのではないか、隠れてるはずだと思った次第である。なお本方法、2つの試料の比較が出来れば良いのだから、隠れているかは重要ではない。片方が従来製品よりも抗ウイルスであれば、洗い流した中での反応量が小さいことで抗ウイルス効果があったと考えられるためだ。
そもそも、ステンレスの表面などで2-3日(条件が揃えば28日)生きてるのが、布ごときで同じようにというのが実感として湧かない。紙の方がより分かりやすく、ステンレスの表面などで2-3日間生きてるのが、ティッシュでは3時間と言われても信じられない。ティッシュのパルプ質?辺りに絡んで、洗い出せなくなってると思えてならない。
ちなみに、洗い流さずにシールタイプを用いる事もあるようだが、奥のほうに潜んでると想像でき、シールタイプでも大きな差は出ないと思われる。またこれ等の方法は細菌へも利用されており、食中毒調査などが主眼で、布とか紙は付随的だったと予想する。
なお、エアロゾルに関する測定は、これ等とは別ではないかと思われる。直接というか、ある程度の粒子の大きさになるようにウイルス液を噴射し、エアロゾル状態の辺りに直接培地を置く方法が想像される。一定の日にち後、その場所がエアロゾル状態と見做してまた培地を置く。前者と比較して生存率を求めていると思われる。そのため、大きなエアロゾルなり影響大のエアロゾルは床とかに落ちてしまい、小さな粒子のものだけに。そのため反応量は小さくなってしまい、生存率が小さいというか日数が短くなってしまうと予想する。
【空気感染の測定方法】
なお、空気感染が気になって、空中でのウイルスの生存率の測定方法ないのかな~とか、今回述べた測定方法をベースにするとそもそもウイルスを含んだ液の噴射がネックで相当難しいかもと考えた。一応以下の論文がヒットした。インフルエンザウイルスでの実証実験も行われている。
課題はあろうが、新型コロナウイルスでの(本方法に限らないが)空気感染の測定を行うのは悪いことでは無いと考える。
【感染経路不明高率の是非】
従来の測定方法や空気感染での測定方法を述べたが、新型コロナウイルス、デルタ株だのオミクロン株だので、複数回の感染ピークがあったにも拘らず過去の英知が余り集まってないとか、集まった英知が生かされてない気がしてならない。オミクロン株などに対する「まん延防止重点措置」が複数の県に発せられようとしているが、主は酒類の提供とか営業時間の短縮。そして「感染経路不明」が50%以上でも気に留めなくなったのが気になる。昨年12月の初旬などの頃の感染者数が少ない時でもそうで、科学的なデータ集めとか対処に結びついてない、、、、。(自治体が、認証店では大声のお客には料金払って帰ってもらえるルール作りとか、それを遵守してるかの抜き打ち訪問とかやれば良かったのにとか思ってしまう。)
ここでの述べた検査方法との絡みは、少なくとも感染経路不明を少なくするのに役立つと言える。結構意識高い家庭では、タオルの使いまわしはしないし、電動歯ブラシもブラシ部分の置き場所も家族間で離して置くなどをやってる。そんな対応をやってない場合は、家庭内感染での接触感染(か家庭内マスクの状況でエアロゾル感染)と分類してよいだろう。あるいは、電車通勤してて手摺やつり革を手袋無しで触る機会があって、会社に入ってすぐに手洗いしなければ、電車内の接触感染だろう。郵便物を受け取ったあとに消毒しなければ、家庭内なり職場での接触感染。相当神経質にそれらの対策を行った上で、電車通勤して人の多いところでマスク外す時があったら空気感染(空気感染の可能性大)として良いと考える。
【まとめ】
多少自治体とか保健所によるだろうが、周りに陽性者がいなければ市中感染=感染経路不明としているとしか思えない。市中感染でも、エアロゾル感染とか接触感染と分類できそうなのは一杯あると思われる。そんな分析を通じて、効果的な対策を処して行くべきと考える。
なお、28日と長めの生存データが利用されてない予想について述べた。むしろ、20℃より低い冬とかでどうなるかとか、デルタ株/オミクロン株などでの違いを測定することは、是非行うべきと考える。例えばステンレスとかエアロゾルに限定すれば、複数の温度・湿度や株種での手間は大きくならないだろう。
新型コロナウイルスに対する多少学術的と言えるアプローチは、ゲノムレベルでの変異、数理モデルでの感染拡大、ワクチンが有効かの実証あたりかと思われる。しかし、変異に対する、本質的な学術的な分析は皆無と言って良さそうに思える。定性分析での性質的な分析みたいな側面。そんな分析をすることで、営業時短とか酒類提供可不可などより、より的確な感染対策に結び付くと考える。
イラストに関しては、「いらすとや」さんのを利用させてもらった。