つれづれなる技術屋日記

しがない技術屋。専門は情報工学で、「つれづれ技術屋」って呼んで。

研修会 技術者倫理と説明力

今日は、日本技術士会の修習技術者研修会。

 https://www.engineer.or.jp/c_topics/003/003083.html

その中での”グループ討議「技術者の説得における倫理」”が印象的だったので、ちょっと紹介。

対市民説得の事例をグループ内で1つ設定して、どう説得したか(するか)をまとめて発表するというもの。説得の項目を研修で受けた倫理の視点を踏まえる。ちなみに自己紹介を兼ねて各自の経験を述べてもらったけど、なかなか市民説得を直接経験した人はいなかった。商品説明などの切り口なら2,3人いるものの、グループ内での題材をどうするかがしばらく決まらなかった。

ちなみに、ひょんな行きがかり上、自分がグループでの取りまとめ役に近い立場になってしまった。技術士会の研修会はいくつか参加しているけど、見知らぬ人達とグループを形成してどうにか意見をまとめるというのは、自分には良い訓練になると思っている。限られた時間内でまとめなくてはいけないから、それも良い訓練。今回は、時間を結構意識して、上手くまとめることができたと思う。

自分達のグループの題材になったのは、道路工事。元ネタの提供の人は市民説得としては余りに小さな案件だったからと尻込みしてたけど、他のネタは市民説明とは程遠かったり公にしにくい題材だったりして、他の皆さんはほぼその道路工事が題材としてよいとの意見だった。まっ、多数決に近い状況で、その道路工事を題材にすることにした。

今まで市民説明や商品開発の経験のない人も、工事が行われる市民の立場で、こんな説明が欲しいとかこんな人がいる場合はどうするなどを提起してもらった。ある意味ペルソナ的な立場での意見。自分としては、そんなことも説明しないといけないのかな~、説得しないといけないのかな~と思えることも出たけど、まとめにはそんな意見も列挙してさらに深く議論した。

まとめもそれなりに良くて、講師からは好評を得た(と思う)。ただし、いつもの癖でポストイットに書いて模造紙に貼り付けるやり方で発表したが、今回の発表形態では、ちょっと見えにくかった。まっ、反省というか、発表を含めてトータル的なことを視野に入れて作業すべきと改めて感じた。

今回は、その後の情報交換会でも結構得るものがあった。同じグループでの1次試験合格者の中に、事務職という女性がいて驚いた。アルコールも入っていたのでざっくばらんに聞いたら、航空宇宙に興味があって勉強してたそうだ。事務職といっても、航空宇宙とかメーカーとかのそれではないそうだ。自己啓発の成果を試す意味で受験したとの事。酔ってたから「それで受かったら、専門の人に失礼かも」なんて笑いながら話した。一応、どんな風に試験対策したかは聞いたけど、ちょっと内緒^.^;。逆に真面目な話し、努力家だな~と感心した。

また情報交換会で、建築だったか土木の人に、グループ討議で出た市民の声の例を話した。結構内容的には、(考えられなくは無いけど)無茶振り。すると、その人は、「対応すべきかな」と言ってた。自分はどっちかというと要望切り捨てるべきとの考え。業界の方が、むしろ市民寄りなのかもしれない。

具体的なネタで意見交換すると、世間の相場的な考えと自分の考えとの対比になって非常に良いと考えた。教科書的に住民説明、そしてその対応が大事と言っても、切り捨てたりするものも少なくない。それがどの辺りにすべきか見極める訓練のひとつと思えば、良い研修会だったと言える。(製品開発とかの議論でよく起きるのは、次期尚早とか価格設定での意見。そんな議論時も、抽象的なことでなくて、具体的に議論して意見集約させるやり方にすべきと改めて感じた。)

蛇足:グループ討議の時だったか、医師倫理の話が出て、こちらは少し理解できなかった。どうやら、講演者資料に書かれていたアメリカでの医師倫理の項目を述べていたようだ。こちらは講演時のその時は、余り細かく聴いてなかった^.^;が、日本での医師倫理と少し違うような印象だった。以下にあるように、日本の医者の倫理要綱(「医の倫理綱領」)では、営利を目的としないとしている。

 http://www.med.or.jp/doctor/member/000967.html

  6.医師は医業にあたって営利を目的としない。

倫理のことを深掘りして具体的に議論するような時は、日本での倫理があればそれを記載した方が良さそうに感じた。つまり細部になると、海外と日本で、倫理観(倫理要綱)に差異があることが少なくない。

蛇足2:講演者のうち一人は、聞いた名前の人だし情報交換会で「どっかで会ったような、、」と思いながらも、ご挨拶するチャンスを逸してしまった。帰って名刺ファイルを探したら、昔とある委員でご一緒した人。講演者等で頭の隅に引っかかる人なら、名刺とかで確認しておくべきだな~と、これは今回の反省。

今日は倫理、そして説明力や説得力も、技術者が身につけておくべき分野であると実感した1日だった。

©2005-2022 ほんだ事務所(honda-jimusyo) All rights reserved.