つれづれなる技術屋日記

しがない技術屋。専門は情報工学で、「つれづれ技術屋」って呼んで。

「共通フレーム 2013」

とある所で「共通フレーム 2013」を見て、早速購入。ソフトウェアライフサイクルプロセスで、SLPC-JCF 2013。 ただし、この数日間で新宿の紀伊國屋と神田の三省堂に行っても、2013版は売ってなかった。2007の2版のみ。結局Amazon経由で、購入した。 理由は後述するけど、共通フレームに興味があれば、2007年の2版よりも2013版を入手すべきだ。

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良い機会だったので、今までの共通フレームの本を並べて撮影。少し分厚くなった。

f:id:honda-jimusyo:20200916113442j:plain2007年の2版から色々変更されているけど、自分が一番重要と思うのは左の写真。(スキャンでなくて、敢えてデジカメ撮影とした。) 上が2007年の2版で、下が2013年版。2007年でのピンク部分が、2013年版では大きく2つに分かれている。2013年版でのそのうちの上段がシステム開発での目線、下段がソフトウェア開発の目線(呼称的には「ソフトウェア実装プロセス」)である。
2007年の2版までは、ソフトウェアライフサイクルモデルをISO/IEC 12207に準じていた。ところが、”システム”ライフサイクルを定めたISO/IEC 15288が発行され、12207との整合性は当初から話題となっていた。 ちなみに2008年には整合性のために改訂されたが、整合性の第一ステップであり、共通フレームの改訂にまでには至っていなかった。(ISO/IEC 15288のJIS版で、整合性の件には触れていたはずだが、勘違いなら済みません。) また、ISO/IEC/IEEE 29148があり、そちらは”要求工学”規格と書かれたりすることもあるが、原題は”Systems and Software Engineering – Life Cycle Processes – Requirements. Engineering”。つまりこちらも、システムまで含めた要求管理やライフサイクルの規格である。 今回の共通フレーム 2013では、ISO/IEC 12207と、ISO/IEC 15288やISO/IEC/IEEE 29148との整合性を図っている。ある意味では、”やっと”出版されたとの感想に近い。 ISO/IEC 12207が非常にまずかったのは、ソフトウェアが大きな1つの固まりのように捉えて、設計や実装、テストが進捗するように考えやすい点だ。少なくとも共通フレームなどの図をそのまま受け取って、そう思う人が少なくない。 今回は、上の写真が示すように、システム内のソフトウェアを実装するとの考えである。また、図ではシンプルに表せないので仕方ないが、ソフトウェアがいくつもあって、それらが並行して進捗するイメージである。ITシステムとか組込みでのシステムでの開発は実際はそうで、規格の方がそれらをうまく表現するようになったとも言える。(並行して進捗するイメージというかいくつかのサブシステムより形成されるという点は、規格での明示としてはISO/IEC 15288のJIS(JIS X 0170)での付属書が、参考になるだろう。) その意味で、本屋さんに2007年の2版があったとしても、2013版を注文するとかネット経由で購入すべきだろう。特にソフトウェア開発を含めたプロセス構築やプロセス改善では、(2007年版ではなく)2013版を参考にしながら行った方が良い。 なおご存じと思うが、共通フレームワーク上のソフトウェア実装プロセスでのプロセスは(正式名称ではないが)以下であり、単体テスとか受け入れテストなどのプロセスはない。

・準備
・要件定義
・方式設計
・詳細設計
・構築
・結合
・適格性確認テスト
・導入
・受入れ支援

2007年版だと開発プロセスに該当するが、各プロセスは大きくは違わない。(2013版での構築プロセスが、2007版では”コード作成及びテスト”としているなどの違いはあり。) つまり誰が考えても、開発プロセスに”受入れテスト”があるのはおかしい。受入れテストはユーザー側でのプロセスで、開発側ではユーザーへの出荷がOKかの判定とか、ソフトモジュールならリリース判定のようなものが該当するはずだ。ISO/IEC 12207や共通フレームワークでは、当初から”受入れ支援”とか”受入れテストの支援”という用語であり、あくまで”支援”という文言の付いたプロセスとしている。 ”ISO/IEC 12207準拠”とか”12207でのプロセス”の文字の後に、(単体テストや統合テスト、)受入れテストが書いてあるのは、極論すると内容も眉唾と考えても良いことが少なくないのが個人感想だ。 「共通フレーム 2013」は、まださらっとしか読んでないが、随所に参考になりそうなネタも少なくない。じっくり読んだり、プロセス構築やプロセス改善の際には手元に置いて参照しながら作業したいと思う。

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