昨日・今日のネットニュースで目を引いたのは、ETロボコンのコンテストが2部門制になるというもの。創造性の高いロボットなり、ロボットの動作が見られそうで、楽しみが増えた感じではある。
ただし、個人的には良い機会なので、ETロボコンにおける「組込みでのモデリングって何だったんだろうか」を総括して欲しい気がする。ETロボコンの発祥は、ご存じのように2002年の「UMLロボットコンテスト」。2002年の最初はUML”のみ”がモデリングの規定だったか分からないが、長く走行時間とモデリング能力の2つがコンテスト対象となった。
組込み屋視点では始めの頃から、以下のような項目は気になった事項。
・モデリング(ツール)を利用して、走行スピードが確保できるか
・処理の全てをモデリングするのか、あるいはモデリングする割合はどれくらいか
・どの程度モデリングツールによるコード生成をするものか
・モデルとして採用されるのは何が多いか
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以前は走行スピードの上位入賞者とモデリングの上位入賞者が不一致だったが、最近は両方とも上位にランクされるチームが増えてきた。ただ、そのこととモデリングで高速処理が出来ることを示しているかは別。つまり、同じチームに、モデリングを考えるグループと(モデルは参考にせず)走行スピード検討のグループを設ける作戦もある。それは趣旨に反するだろうけど、少なくとも走行スピードと発表されたモデル(の該当部分)との関連が示されたことは無いように思う。
ただ、モデル(の部分)と走行スピードとの関連を示すのは難しい。ETロボコンでのパネルセッションのモデルを眺めたことがあるが、以前はユースケースの掲示が少なくなかったが、最近はシーケンス図である動作部分のロジックを示す展示が増えたように感じる。パネルでのモデルは、ロジックを示すために利用されていると考えて良いだろう。
モデルのその部分は自動コード生成している/していないはあるかもしれないが、実際の組込み開発でも良く目にする事項だ。つまり、走行スピードに関するソースコードの全部分とモデルの全部分が無いと2つの関連を示すことが出来ないが、モデルで100%コード生成してるとは限らないしモデリング100%が唯一無二でもない。
個人的には上で書いたような必要部分のみをモデリングしているのが実際的だろうけど、せっかくロボコンとして大会を開いているのなら、モデリングの割合などの統計を取っても良いと考える。あるいは、モデリングと走行の相関性を掘り下げたり、モデル→ソースや実際の走行状況の追跡を行っても良いと考える。
後の方に書いたのは結構労力が必要かと思われるので、実現は難しいだろう。しかし、せっかくの節目なので、今までのETロボコンを総括するような語論はあって良い。
追記:オージス総研のETロボコンレポートで、関連しそうなことが書かれていたので紹介。
http://www.ogis-ri.co.jp/otc/hiroba/Report/ETRobocon2012/ChampionshipWorkshopReport/index.html
2013年に向けて「キレイなモデルを評価するのはおしまい、手垢にまみれたモデルを期待」とある。
2012年は、完走率が悪かった。原因を照明とする意見が多い。また組込みならそれへの対応は当然だろうとの意見すらある。ただ後者に関しては、モデリングとのバランスで致し方なかったかも、というのが個人的な感想でもある。後追いでは誰でも言える。また、後になっての要求事項追加のように思えてしまう。
蛇足だが完走率が悪かった原因が照明であれば、それに早期に気が付かなかった大会関係者や、その対応が出来なかったことは反省として述べるべきだ。オリンピックなどだと、風速によって”追い風参考”の記録となるが、あんな感覚が欲しい。今まで大会会場では、マイクで何度も、フラッシュや赤外線の距離計測カメラは使うなと述べている。意識はあったはずだ。今後は、大会向けの”標準”マシンでコースや状況の確認を行う検討などに結びつけて欲しい。(その上で、リスク発生度を大会規定に明示されるのがよい。)
本レポートに書かれている審査委員長の弁は、完走率の低下などに絡めたものだが、今まで再試行とか方法の変更など組込みらしいモデルというか対応説明のパネルもあったように思う。その意味では、委員長の弁は一歩踏み込んだ方向性を示していて良いことだと思う。個人的に、さらに今回書いたようなコード自動生成との絡みやモデル利用率などにも、言及/総括して欲しかったというのが感想である。