つれづれなる技術屋日記

しがない技術屋。専門は情報工学で、「つれづれ技術屋」って呼んで。

映画「黒部の太陽」感想

裕次郎の夢~全国縦断チャリティ上映会」のチケットをゲットして、今日はその鑑賞。チケットゲットのいきさつは、既にこのブログで紹介済みだ。

 

会場は、有楽町の東京フォーラム。フォーラムの屋外とか、地下の連絡通路に係の人が立ってて、会場へはスムーズ。天気予報に反して?、小雨が降ってた。(蛇足ながら、東京フォーラムばかりじゃなくて他でも気になってるが、タイル張りが増えて勾配があることが多いこともあって雨だと滑りやすい。タイル素材を考えるべきなのか、自分自身で防衛するように今から検討した方が良いのか悩み所。)

 

開場の9時半少し前に着いたけど、既に入場門の前にはそこそこの人。少し回りをブラブラした後で、再度入場門へ。少し前に開けるかと思ったら、30分丁度。感心するやら、そこまで正確にやるのかな~とか思ってしまった。ちなみに、入り口には、熊谷組とTV朝日、あともう一つからの花が飾ってあった。(TV朝日との関係は? ただし、以前「黒部の太陽」のほんの一部分が、テレビ朝日でTV放送されたことがあった。以前からコンタクトがあったからだろうか。ちなみに、自分のDVDを探したら、その放送一部を録画してた。)

 

パンフレットを販売してたら買うつもりだったけど、それは無し。

 

自分の席を確認して、トイレに行ったり、通路などを散策したり、メールの確認などをしたら開演に近づいた。2階席なんだけど、階数的には5階。”2階席”という言い方をしてフロアの階と区別するようにしているみたい。自分の席は、後から2列目。思ったよりもスクリーンは見やすかった。しかも最後の列は全部人がいなかったし、最初は両脇にも人はいなかった。なので気分的にも楽。(ただし開演直前に、左の人が来たけど。)

 

2階席での少し飛び出したところに荷物や傘を置く人がいて、係の人が何度かお願いしてた。他は携帯電話の件。なお、開演してしばらくしてきた人は、階段で転んで怪我をしたみたい。逆に、自分の所からは、非常灯が結構目につき、最初少し気になった。

 

 

ほんの1週間ほど前に、BSプレミアムで「黒部の太陽(特別編)」が放送されたので、その違いを中心に述べる。

 

最初の方にチャンネル銀河などの画面。また、映画そのものでの「この映画は敗戦の、、、、」の文言。建設会社の社名なども出たように思う。

 

オープニングでの配役の所が、”五十音順”。ついこの前、BSプレミアムで放送された「黒部の太陽(特別編)」と違うので、早速メモ。冒頭からして違うのか~と、焦ると同時に、集中せねばと心構えた次第。

 

オープニングの音楽の時に気になったし、TVの時もそうだったけど、モノラル録音だと思う。(席の関係じゃないと思うけど。) 逆に、登山でのアイゼンの音や滑落の音などは、結構音に注意した作りにしている気がする。またフィルムがそれなりの物なのだが、冒頭の辺りでも所々にシミのような画像が。今回のためにデジタルリマスター化する手間ほどではないにしても、DVD化などの時には画像修正とか、音響のステレオ化を行って欲しい気がする。(できれば、洪水シーンでの発泡スチロールらしき白い部分の修正もやって欲しい。)

 

なお、特別編と今回の完全版の違いを確かめようと、以前購入した原作をさらっと見てみた。すると、そもそも、登場人物名が違う。三船俊郎演じる北川覚は、原作では芳賀公介。石原裕次郎演じる岩岡剛は、原作では笹島信義といった具合だ。

 

さらに映画では伏線として、岩岡剛と樫山文枝演じる北川由紀の恋愛がある。しかし原作での芳賀の長女・由江は、冒頭に近い辺りから既に見合いをしている。多少映画と似ている点は、相手が間組の土木屋であったり最終的には結婚する点である。

 

ちなみに、多分この本はフジテレビによるテレビドラマ放送の際に気になって購入したもの。積ん読状態だった。

 

 

黒部の太陽(特別編)では、どうも腑に落ちなくて悩んでたのが大きく2つあった。

 

1)岩岡剛(石原裕次郎)と北川由紀(樫山文枝)が最初に出会う前後

 

2)岩岡剛(石原裕次郎)が、いつの間にか父親の岩岡源三(辰巳柳太郎)の跡を継いでいて、その理由や背景

 

岩岡剛と北川由紀のために、加藤武演じる男性が”ハザマグミのクニキダ”と名乗って、岩岡剛へ父危篤の偽電話をする。偽電話だったので”ハザマグミのクニキダ”も嘘かと思ってしまった。しかも余り良く聞き取れなかったし。さらに最初に出会ったのが北川の自宅だったが、酒はなんでも良いという剛の言葉に対して、回りに「養子向きじゃない」との言。いきなりだったので、北川の親族かと思ってしまった。

 

ところが実際は、本当に間組の国木田(加藤武)。完全版では、工事現場で工夫らに訓辞するシーンもあった。岩岡剛と北川由紀が出会う直前では、北川の子供が三姉妹のみであることを話題にして、北川らと相手として岩岡剛はどうだろうかと会話する。完全版で、これらを見ていくつかの疑問が氷解した。

 

2つ目の岩岡の親子関係は、当初険悪だったので理解しにくかった。北川の自宅で、剛は破砕帯の危険性を国木田らに説明する。またその時の話し合いでも、親子で取っ組み合いになる/なりそうになる。剛には父親が金の亡者としか思えないし、そもそも弟が父親のために事故死したことを恨んでる。工事の際にも会うが、その際も口論。またどう考えても、剛は別の建築設計事務所の社員だ。それがいつの間にか、父のトンネル工事を引っ張るようになっていく。

 

完全版では、工事現場の宿での親子激論の後で、剛が北川と会話する。北川との会話から、剛が工事現場に留まるようになって少し理解できた。それでも引っかかる部分もあったが、由紀との会話か何かで納得できそうなレベルになった。

 

 

特別編には登場しなくて、完全版で目にして印象的だったのは、、、、。

 

樫山文枝のスキーウェア姿

 

佐藤工業の森(宇野重吉)と息子(寺尾聡)の実親子シーン

 

・岩岡剛と大学で登山部だった人の登場 概述の工事中に父親の工事現場に向かう時やラストでのダムシーンなどで剛(石原裕次郎)の登山姿が気になってたけど、昔登山部だったとのことで理解できた。また、貫通する前後での企業間の電話のやり取りなどの背景が理解できた。

 

佐藤工業の森(宇野重吉)の奥さんとして登場する北林谷栄 老け役、特に「ビルマの竪琴」での老婆役といえば分かりやすいか。完全版での登場も短い時間だったが、特別編では登場しなかったと思う。

 

・終わりの方で、北川覚(三船俊郎)がトローリーバスを降りて破砕帯を歩くシーンが、特別編ではカットされていた。他にも、特別編でのカットを勿体なく感じる部分が少なくなかった。

 

ちなみに、下條正巳が工夫役で出てた。下條正巳は、映画「男はつらいよ」でのおいちゃん役第3代。岩岡源三と工夫との大喧嘩の場面での登場で、特別編では声とかちらっと姿が見えていた程度だった。

 

他でも細部を含めて、完全版の方が理解しやすいと思う。工事の作業方法とか、建設会社間の違いや思惑なども特別編では消化不良状態に近かったと感じた。また発注社と元請けと下請けとの関係とか意見の衝突は、完全版の方がよりストレートに思えた。(ただし、ネットでの特別編と完全版を別物と考えた方が良いとの意見も見たが、個人的にはそこまでの大きな違いは感じなかった。)

 

なおトンネルの貫通は、一休みの号令の後に、岩岡剛(石原裕次郎)だけが煙草を一服した後でドリルを手にして行われる。現場での煙草は、当時でもちょっと考えにくいかとふと思ったがどうなんだろう。

 

 

上映は、休憩を含んで3時間半程度。終わる時には、拍手も起きた。観客の方は、結構年を召した人が少なくなかった。年を召した方は子供さん(と言っても団塊の世代に近い)と一緒にといった人が多いと感じ。大なり小なり当時の工事に関係した方々もいらしたのだろうか。

 

岩岡源三(辰巳柳太郎)らの言動は今となっては時代遅れかもしれないが、共感できるシーンが少なくなかったように思える。共感とまでは行かないにしても、多少笑みを含めながらも理解できるような反応が時々あったように思う。自分がそうだったからかもしれないが、、、、。あるいは、剛(石原裕次郎)が途中まで余りに淡々としてて、それに対する意外性や反発が、岩岡源三(辰巳柳太郎)を好感していったのかもしれない。

 

f:id:honda-jimusyo:20200916115605j:plain写真は、鑑賞記念として頂戴したもの。

 

裕次郎のカレンダーや、焼き肉のたれ。そして、黒部などの観光案内。自分は裕次郎の熱狂ファンと言うほどでも無いが、ファンにとってはカレンダーなどで超お得だったのではないだろうか。

 

 

個人的には、プロジェクトマネジメントの人間的側面を知るには絶好の教材でもあると考える。発注社/元請け/下請け、各自の家庭や背景の事情、リスク遭遇への心理やそれに対する対応、、、、。完全版の方が、より肉薄する印象なので、DVD化とかに期待したい。

 

 

ちなみに以下のページでは、「黒部の太陽」での俳優さんが結構細かい人まで列挙されている。名称こそ特別編となってるけど、完全版のことにも触れていて参考になると思われる。

 

 華麗なる日活映画の世界 1968年『黒部の太陽』(特別編)

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