つれづれなる技術屋日記

しがない技術屋。専門は情報工学で、「つれづれ技術屋」って呼んで。

ソフトウェアテストの見積り

知り合いとのやり取りで、”ソフトウェアテストの見積り”がちょっと話題になったので、メモのつもりで残しとく。そもそもソフトウェアテストの見積りって、テスト項目数がどれくらいになりそうかとかテストのための人員数がどれくらいを見積ることだが、記載されてる例が多くない。バグカーブやソフトウェア開発での見積りと比較すると、書籍や論文への登場は、がくっと減っている。 「基本から学ぶテストプロセス管理」では、11章で”テストのコンテキスト -予算、ライフサイクル、プロセスの成熟度”のケーススタディで、少しイメージしやいものが掲載されている。(ROIに関しても言及しているが、市場で発見されるバグをそこそこの数としているから、日本人には違和感はあるかも。) 他の章ではテストラボの設備などにも言及しているので、ソフトウェアテストの見積りを考える上で参考になるだろう。昨今は、C/Sシステムにしろクラウド利用のサービスにしろ、テスト環境構築をどうするかは大きな課題だし、実運用外のシステムでテストする場合はそれなりのコストが発生するので悩むところかと思う。
「テストプロセス改善」では、”7.4 見積りと計画”でキーエリアとして見積りのことを述べている。 テストケース記述での工数の考え方(ただしある意味当然)が記載されていたり、テスト自体の比率(準備、仕様化、、、)の筆者による経験値などが述べられている。
ソフトウェアテスト見積りガイドブック―品質要件に応じた見積りとは」の方には、さらに具体的にイメージしやすい掲載もある。特に東京海上日動システムスの事例。テスト工数の全体に占める割合という概算的な数値である。ただし、まずはその数値で金額的な見積りを行うことは有効と、個人的には思う。(もちろん積み上げによる見積りとの併用が望ましいが。) 他にこの本では見積りでのパラメータが豊富に記載されている部分も多いが、具体的な数値とのペアではないのでイメージしやすいかは? 逆に、自組織でいくつかのパラメータを採用して、計測したり市場トラブルやリリース後のトラブル数などと対比することで、見積り精度の向上に役立てることはできるだろう。
ITシステムに対する受け入れテストの工数予想は、開発ベンダーによるインストールからカットオーバーまでの期間に関係する。組込みなどを含めてソフトウェアテストを請け負う企業もあり、そのような企業にとっては請負の見積り金額に関係する。ソフトウェア開発を請け負う場合でも、自テストの工数を加味する必要がある。それらを考えると、精度を高める工夫(と同時に予想との差異分析やその対応)が必要なはずだ。 IEEE829 208ではレベルテスト毎の計画という考えを入れているので、各レベルテスト毎に見積って積み上げることで見積り精度は上がっていくと思われる。レベルテスト(テストレベル)という概念を取り込み、ソフトウェアテストのためのコストを見積ったり計測することで、例えばコンポーネントテストでの自動テスト化/自動テスト拡張なども判断しやすくなると考える。

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