つれづれなる技術屋日記

しがない技術屋。専門は情報工学で、「つれづれ技術屋」って呼んで。

災害におけるIT ~ゼロからの視点~ 1(概要)

今回の東北地方太平洋沖地震の都内での実体験や、東日本大震災に関するニュースなどを目にして、災害時の情報伝達に関して考えさせられる事項が多かった。自分の参加しているコミュニティによっては、安心・安全や防災が話題となる頻度の高いものもあり、東日本大震災でのIT(情報技術)に関することを、ちょっとまとめておこうと思う。

阪神淡路大震災の際には、電話よりもインターネット利用の方が通じやすかったとの話もあったようだが、今回の自分自身の実体験やその後の計画停電での現象を考えると、インターネットも脆いという気がしている。さらには、今回の震災でのTwitterの有効性などが挙げられている。しかし一般的な話題なら理解できるが、Twitterの安定性も含めて考えないと防災レベルの議論としては不十分に感じていた。

なんでそんな感覚になるのかと考えていたら、少し判った気がしてきた。つまり従来の防災なりリスク管理だと、迂回策やバックアップ切替の話が主。ところが、今回の震災では、迂回手段などがばっさり断。そもそも電気が通じない。昔の電話なら電気が通じなくても通話できたが、最近の機種は電気利用タイプが多いし、そもそも電柱など倒れて電話線自体も断線。携帯電話も、基地局が流されたり、トラフィック急増での通話制限や停止措置が発生した。さらには、避難所や自治体の公舎すら被害にあったり、住民や患者の貴重なデータも無くなったこともあったようだ。そして、計画停電のように3時間も電気が途絶え、簡単な無停電電源装置では対応不可能な状況に陥った。

復旧や対応では、迂回策での対応を行うというよりも、一から構築するイメージに近いと感じた。ジクソーパズルだと、2,3個のパズルが欠けたのと、大部分が欠けてしまったのとの違いのような感覚。

警報通知・救援・避難・復興のための、ITなり情報通信のあり方を再考した方が良いかな~という気になった。しかも、従来のネットワークをベースにおいてのIT議論より、もっとプリミティブな方法から再検討した方が良いとの考えるようになってきた。

まとめ方として伝達媒体毎に括る方法もあるかと思うけど、当初、警報通知→復興のような時系列に近い方が分かりやすいかと考えた。もちろん、1つの方法がいくつもの状況に適応できることがあるので、大まかな流れでの分類といった感じ。また、これは(多少こじつけかもしれないが)マズローの要求5段階に、予知や待避を0番目にすることで、関連づけることも可能だろう。

  0. →予知情報入手や待避

1. 生理欲求→救助

2. 安全欲求→治療や避難生活

3. 社会欲求→協同的避難生活

4. 尊敬欲求→以前の日常生活やそれに近いもの

5. 自己実現欲求→以前の日常生活

当初は、災害での情報伝達手段として、救助や救援での情報伝達から考えてみた。しかしよくよく考えたら、警報通知のあり方も再検討が必要と思えてきた。そのために、上のように0を追加。

今回は、地震警報も津波警報も発せられた。東北地方の多くは、避難訓練なども行っている。地震速報については、時々テレビなどで警報に関する試験方法も行っている。それなのに膨大な数の被災者を生んでしまった。地震の規模が想定以上だったとの意見は判るが、再発防止という意味では、より良い警報システムの構築や、警報の受信やその対応での課題を調査する必要もあろう。(ただし、今回は予報のための観測での課題も発生しており、克服すべき課題は少なくない。)

さらに言えば、似たようなシステムとして「国民保護法」に基づくシステムがある。

http://www.kokuminhogo.go.jp/arekore/shudan.html

これらのシステムは、運用も含めて、有効に働くのかも非常に気になってきた。そもそも対策本部経由・内閣府からの情報発信(のみ)で良いのか。警報発信までの時間、その情報活用~国民への伝搬、そして国民の情報への対応までがスムーズに行きそうか。それらも含めて振り返りを行うのは、良いことだと考える。

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