つれづれなる技術屋日記

しがない技術屋。専門は情報工学で、「つれづれ技術屋」って呼んで。

再読「レクサス~完璧主義者たちがつくったプレミアムブランド」

昨年でのトヨタリコールの際に”グローバル品質特別委員会”などが話題になったが、ふと思い出して再読した本。

 

海外で出版されたものを、日本語訳したもの。冒頭の謝辞に書いてあるが、トヨタ自動車からの正式な許可を受けて書かれたものではない。逆に、そのせいもあって、トヨタを別の視点で理解できるかなと思って購入した。

 

”グローバル品質”の視点では、新興国にはそれに応じた品質観点が必要かもしれないとの議論もある。トヨタでも同様では無かろうか → そう言えばレクサスは海外向けがスタートだったよな~ と考えて、昨年の暮れ辺りから再読しようと思っていた。この本では、米国トヨタ自動車販売トヨタモータセールスUSA TMS)とのやり取りなども多く書かれており、参考になりそうと思ったからだ。

 

そもそもトヨタにとっての高級車市場への乗り込みは、不利な立場だったとしている。そのために、レクサスでの試作車は約450台、1400人のエンジニアなど。通常のトヨタの新製品開発では、実物大試作車は2,3台。エンジニアも最大200人。(P64) なお、個人的には通常での試作車2,3台は変だと考える。フェーズ(段階)と混合したのじゃないだろうか。

 

設計当初でのエンジニアがヨーロッパ高級車を10台ほどレンタルして名古屋から箱根まで走った話(P76)や、アメリカでの今風用語で言えば超セレブな屋敷を見学した話(P94)などが掲載されている。

 

製造視点では、田原工場建設の話が、結構面白い。ほとんど未開の地で、工場操業の2ヶ月“後”に現地住宅の160室のアパートが完成。駐車場には、週末ハンターによる薬莢(やっきょう)が散乱していたこともあったと。(P143) ただし港湾には近い。なお、アメリカでの工場操業やサービス教育などにも触れている。

 

エピローグには、グローバルデザインセンターの様子が書かれており、海外を含めた多くのデザイナーが集まってアイデアを交換している。(P320)

 

 

田原工場での逸話は、製造業での本質的な部分かもしれない。端的には、いかに(トータル的に)安く作るか、、、、、。また、この本や他のトヨタの本などから考えるに、トヨタにとっての”グローバル品質”は、ある意味”ブランド戦略”を意味するのかもしれないと思うようになった。

 

レクサスでも、設計、生産やサービスに関する基本的な教育の中心は、日本(だったと言える)。これからの”グローバル品質”の時代でも、それらを日本でカバーしていくのではないかと感じた。高級車にしろ、低級車にしろ。各国の営業からの意見による製品開発やブランド開発が行われるだろうが、各国で車種設計~製造にはまだまだ至らないだろうと感じた。外れたら悪いけど、、、、、。

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