つれづれなる技術屋日記

しがない技術屋。専門は情報工学で、「つれづれ技術屋」って呼んで。

本「ソフトウェアテスト HAYST法 入門」感想

ソフトウェアテスト HAYST法 入門」を読んだ。ちょっと時間出来たので、急いで感想を書いとかないと、、、。

 

この本、ずばり HAYST法の本。このブログ読んでる人は、JaSSTなどでのHAYST法の資料や論文を読んでる人が多いと思うけど、それを詳しく書いたもの。HAYST法以外に、ソフトウェアの肥大化などにも触れているので、ソフトウェアテスト担当の人もそうだけど設計や開発の人にも参考になる。(というか、組み合わせテストって、設計の人も理解しておくべきというのが持論。)

 

帯=推薦のことばがいい。冒頭が”画期的な本である。”。ソフトウェアテストでは著名な、電気通信大学の西さんによる。推薦のことばでは、”曽呂利新左衛門の褒美のように”なんて書いてあって微笑ましい部分もあるけど、最後は”日本の産業競争力の向上”なんていう少し重いテーマで結んである。

 

結構丁寧に書かれている。直交表もいくつか記載されているし、用語集とか、脚注も丁寧。まとめや宿題(理由はあるけど解答は記載なし)で、理解度を自己採点できる。コラムがいくつかあり、別視点での見方などが書かれていて、参考になるものが少なくない。

 

HAYST法では、FV表とかFL表などを使うようだけど、詳しく書かれている。また”連結法”とか”水準集約法”という、直交表のサイズを変更する技法も紹介されている。ほんとは、”連結法”そのものでサイズは変化しないけど。

 

網羅度そのものの説明(具体的な計算方法)は詳しくないけど、網羅度と品質の目安が書かれていて、個人的には興味深かった。

 

またペアワイズ法やPICTにも少し触れているので、HAYST法以外に興味ある人も参考になると思う。k-wayテストにも触れている。(もちろん、ペアワイズ法などの方がいいとの考えの人には、多少不満のある記述かな。)

 

ちなみに、この本、発売日の25日に入手しようとして神奈川の有隣堂に行ったけど、なし。検索サービスで探してもらったけど、引っかからなかった。翌日26日が外出だったので、電車の中で読もうと、横浜のダイヤモンド地下街店で検索してもらったけど、その日もだめ。結局、28日の隅田川の花火大会に行く際にイヤモンド地下街店で買って、電車の中で急いで読んだ。日曜である程度読み終えたんだけど、感想を書く時間が無い。というか、すぐに文章にしたり、キーボードで打ち込めない。こんなのも、老化現象なのかな~。なんてね。

 

さて、ちょっと不満の部分も書いておかないと、、、。^.^;;

 

・用語集のFL表とFV表の記述(正確には用語での見出し語)が逆

FL表とFV表って、結構重要なキーワードなので残念。

 

・FV表の説明がよく分からない

というか、機能分析って、もっと別のやり方がいいというのが個人的な意見。

 

・どこまでがHAYST法での規定部分なのか、自組織で考えてもいい部分か分かりにくい

上のFV表もそうだけど、HAYST法のHAYST法なる部分がよく分からない、。HAYST法を体系と思えば、全部と言えるけど、全部を実践するのは多分酷。どの部分を自組織の既存のプロセスなり手法を流用できるか考えにくい。つまり、それが無いと、HAYST法をどう自組織に適用するか作戦が描けない。

 

・”テストファースト

V字モデルからWモデル(を意識?)で、HAYST法を使うことを”テストファースト”と読んでるけど、XP系の人には違和感あると思う。また、もう少し設計系での利用方法の具体例があるといいなと思った。

 

・話が発散する部分が所々にある

FV表とFMEAの関連とかバランススコアカードとの連携とか、、、。コラムでの「お客様視点での因子」とか「機能だけを因子にすればいいか」というのも、ちょっと飛躍してると思える。まっ、各自の受け取り方だろうけど。

 

・実践するには??

直交表とか技法はある程度分かったとして、じゃ実践するにはどうするかが頭をよぎってしまう。そのあたりも書いてあればよかったんだけど。続編につづくなのかな。

 

 

と、後の方は個人視点が強い意見も書いてみた。ただし、冒頭で述べたように、組み合わせテストに関係する人には非常に参考になるので、一読してみてはいかがですか?

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