つれづれなる技術屋日記

しがない技術屋。専門は情報工学で、「つれづれ技術屋」って呼んで。

日経コンピュータでのヨードンさん

定期購読の本で未読が溜まってしまったので、急いで読む。熟読したものの1つが、「日経コンピュータ」でのヨードンさんとのインタビュー。2007 3/7号。

デスマーチの1版と2版、更にはその後の変化に対する意見とか、”政治や交渉”絡みの意見が記載されていた。ただ、このあたりは今回の来日では色々書かれている事と同様かな。

要求工学などのツールよりもコミュニケーションが大事との意見は、何回か彼が書いたり言っている事。そのあたりが、日本人が彼の考え方に親しみ持つ理由だろう。その意味では、ドラッカーさんなどと似ている。

海外でのコンピュータサイエンス離れ関連も記事になっている。ソフトのオフショア開発進行の思わぬ影響。日本の組み込み等とコンピュータサイエンスとの関係も同じなんだろう。

ただしもちろん最後の方は、建設的な意見が書いてある。

90年前後の来日の際には、日本のソフトウェア開発の人たちの自信に満ちていたとの事。勘違いしているかもしれないけど、そんな人たちが前向きのままにならなかった”対抗勢力”もあるんだろうな~。

また今回の来日で、会う人が「どうしていいか分からない」と述べるのは、むしろ健全とヨードンさんは言っている。それも皆分かってるんだと思う。でも現場での問題は、その解決方法の検討とか実行のプロセスが、ヨードンさんの言う政治とか交渉でデスマーチプロセスになりそうなことが多いからだろう。

事業分野や企業によっては、それなりに回っている所はあるだろうけど、多数とは言えない。各プロセスの細部では画期的なことも含めて、研究や実践は進んでいる。学会や雑誌での事例掲示も少なくない。どうも全体を回す所がうまく行ってないんだろう。その意味で、某社がプロジェクトマネジメントに熱心なのは、全体プロセスを回す(回ってない場合の検出を行う)ためと思うとすっきりするのかな。

少し雇用が回復したようだけど、コンピュータサイエンスを学んでいる人達は、思案のしどころかな~。昔は、IT企業とか製造業が代表的な就職先だったろうけど、時代が変わった。

特定アルゴリズムとかロジックの分野に強ければ、そこを生かすことも有効だ。(経営系の)モデリングが専門なら、むしろ自分の性格と社風にあった会社を選択する考えもある。今回のヨードンさんの記事にも”生物学や製薬分野との統合”との文言が書かれているが、そんな意識もした方がいいだろう。

”生物学や製薬分野との統合”の文言のちょっと後のほうには、”マッシュアップ”、”Ajax”、”Ruby on Rails”といった用語も飛び出している。昨今のWeb2.0時代を考えると、その分野でのアルゴリズム等のアイデアがあれば、起業という選択もある。

こんな記事を読みながら、少し長いスパンで物事を考えるのもいいことだ。ただ、記事の副題は”「無理なソフト開発は常態」 技術者が生き残るのは交渉力”。分からなくはないけど、”生き残るには交渉力も”位がありがたかった。あるいは、”コミュニケーション能力”位が良かったと思う。

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