つれづれなる技術屋日記

しがない技術屋。専門は情報工学で、「つれづれ技術屋」って呼んで。

「構造計算偽造」と「つまようじブリッジコンテスト」

今朝のニュースや、今週まとめてのニュース番組での初めの方に位置したのが、千葉県市川市の建築設計事務所による「構造計算偽造」。構造計算の書類を偽造したというもの。新聞などによると、必要とされる鉄筋の3割しかない所もあったそうだ。

一級建築士免許取り消しの方向との事であるが、検査機関/施工主/販売会社そして住民にとっては、それだけでは済まされない。

2,3週間ほど前だったか、場所も大阪だったか記憶がはっきりしないニュースに、エアコンか何かの工事で鉄筋にまで穴を開けて強度を低減させてしまった事件があった。1つほどではなく十とか百といったオーダーだったはず。つまり1箇所とか1部屋の強度といった次元ではなく、建物そのものの強度が低下。

そのニュースを聞いた時もそうだったが、今回のニュースでも頭をよぎったのが、何故複数段のチェック機構が働かなかったのかという事。検査機関が素通ししたとしても、工事の現場が「あれっ」と言ってもおかしくない。工事中にしろ、図面レベルを見た時に、その声を発してもおかしくないと感じてしまった。エアコンのニュースの場合なら、穴を開ける際に大きな音がするし通常と違うはず。

責任云々という次元では彼らにその責はないとしても、プロジェクト管理やシステム工学的な視点では、それが普通に思える。少なくとも、今までの日本”技術者魂”みたいな観点では。

技術系の資格試験などで倫理の問題を扱ったり、資格者の継続教育の必要性が叫ばれている。(隣の芝生みたいに思っていた)建築の最前線でもこのような事が起こるとのことで、他部門の技術者も教訓にすべきであろう。

あるいは、コンクリートの世界では、(詳しくは知らないが)現場のコンクリートをサンプリングして強度の再確認を行なうとの事。鉄筋を含めたサンプリングなどが出来ればいいのにと、ふと素人考えで思ったくらいである。

また、国際的な品質管理システムを導入している企業は多いだろうが、そのチェックが形骸化していないかを再考する必要があるとも言える気がする。

再チェックを厳重に行なう時代になったという事なのかもしれない。が、性悪説前提で、前の人のデータを全く信用しないというのも寂しい気がする。

なお、実は、先週とあるTV番組を見てから構造計算は気になっていた。その番組はCS放送JNNニュースバード「列島weekly」。目を引いたのが、表題の”つまようじブリッジコンテスト”。

つまようじ(爪楊枝)とボンドで模型の”橋”を設計。実際に作成して、どれくらいの重さに耐えるかを競うもの。観衆のいる前で、どんどん重くしていく。最後にはガシャーン。

構造計算が正しいかを実験するのは相当難しい。特にビルとか飛行機のように巨大化すればするほど、全体にかかわる強度の実験はほとんど不可能。自動車なども多少その側面があると思える。

それが一目で判る事や、コンテストという事で競争になる。色々メリットあるし、基本的に”おもしろい”。

ちなみに似たようなコンテストが各所で行なわれており、素材として”パスタ”を使う所もあるようだ。

http://homepage2.nifty.com/SUBAL/BCindex.htm

などが参考になると思う。

個人的に非常に感心したのが、”日程を考えろ”という項目。徹夜やっても、接着剤が乾くまでには時間がかかるんだぞ!という教え。(無謀なソフト開発者にも言って欲しいくらい。)

”つまようじブリッジコンテスト”の様子をTVで見た時は、例えば金属製のつまようじを使ったらルール違反になるのかなと思ったりしたが、(金属はNGだが)基本的なルールがある程度。色んな工夫で強度を増せそう。

また、ふと思ったのは、観客も競馬のようにランク予想してはどうかという点。つまり構造を見たりして、予想を立てるというもの。そうすることで、より構造計算の感覚的精度が上がるような気がする。競馬というとお金がつきまとっていいイメージではないかもしれないが、的中者を表彰するくらいならいいのかも。

今回の騒動で、構造計算に関係する人達の教育のあり方なども考えさせられた。

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